インディ500は言わずと知れた、インディカーシリーズの象徴的一大イベントです。
F1のモナコGPのように、他のレースとは一線を画す伝統ある特別な一戦です。
一周2.5マイル ( 4km ) のハイスピード・オーバル、インディアナポリス モータースピードウェイで繰り広げられる超高速バトルは、その平均速度が360km/h、最高速度は390km/hを超える事でも知られています。


インディ500の特別っぷりは、そのスピードだけではありません。
レースのオープニングイベントから決勝までが、実にひと月近くにわたって行われるのです。
特に予選はインディ500だけの特別なルールがあって、インディ初心者には非常に難解に感じられます。
ここでは、その難解な予選方式をひとつずつ確認していきたいと思います。


インディ500の決勝には33台のマシンが参加出来ますが、ほとんどの場合それ以上のエントリがあるため、予選は ” 決勝に参加する事の出来る33台 ” を決める作業になります。
また、エントリはドライバー単位ではなくマシン単位となります。例えばNo.5とNo.5Tというマシンをエントリしておいて、No.5のマシンで予選に失敗しても、No.5Tのマシンで予選に通過すれば決勝に参加する事ができます。


予選では、他のオーバルコースと同様に ” 4周の平均スピード ” によってポジションを決めますが、この予選アタックの事を、インディ500では ” アテンプト ” と言います。
また、4周の平均スピードでポジションを決めるので、記録は ” 予選タイム ” ではなく ” 予選スピード ” となります。


予選は2日間にわたって行われます。
初日をポールデイ、2日目をバンプデイと言います。ポールデイは、その名の通りポールポジションが決まる日です。バンプデイについては後ほど。
33台中上位24台は、ポールデイの11:00~16:00に、4周平均スピード方式で決まります。
4周の平均速度の速いマシンから順に、ポジションが決まっていきます。


出走順は抽選で決まりますが、自分の出走順をパスし、より好条件を求めて最後尾に回ることも可能です。
各車3回までのアテンプト ( 予選アタックの事をインディ500ではアテンプトと言う )が可能ですが、1回目と2回目で 「 うーん、ちょっとイマイチ 」 と思ったら、途中でやめる事もできます。
しかし、出走順をパスするにしてもアテンプトを途中でやめるにしても、決められた時間内にアテンプト出来なければ決勝に進むことすら出来なくなってしまいますので、欲張りすぎには注意です。


24台中上位9台は、決勝で9番手以内からスタートできることがこの時点で保証されます。
ポールデイの16:30から90分間は、上位9台による 「 The Fast 9 」 が行われます。
各車少なくとも1回のアテンプト、時間の許す場合に限りさらに1回ずつのアテンプトを行い、この 「 The Fast 9 」 で上位9台の予選順位が決定します。



バンプデイは12:00からアテンプトを行い、まず25位〜33位までの9台を決めます。
これでポールデイの24台と合わせて、イラストのように33台のマシンが出揃います。



イラストの青いマシンは 「 The Fast9 」 で予選順位が確定していますが、この9台以外の順位は、この時点では暫定です。
このあと行われる ” バンプアウト ” によって、33台の最終的なグリッドが決まるのです。

バンプアウトとは ” はじき出す ” と言う意味で、 残念ながら予選で33台に入ることが出来なかったマシンが、その名の通り他のマシンをはじき出し、決勝に参加出来る33台の仲間入りをしよう、というインディ500ならではのセッションです。
はじき出されるマシンは、 ” その時点で一番遅い予選スピードのマシン ” が対象です。
そのマシンの事を " オン・ザ・バブル / On The Bubble ( OTB ) " と呼びます。まさに ” いつ消えるかわからない、泡の上に乗っている ” 状態をあらわしています。
ここでは仮に33台中33番手のマシンを ” On The Bubble ( OTB ) ” として、バンプアウトを説明します。


34番手以降のマシンが、見事33番手のマシンの予選スピードを上回れば、めでたく33台の仲間入りとなります。
バンプアウトされたマシンは再び33台の仲間入りを果たすべく、他の34番手以下のマシンと共に、バンプアウトに参加することとなります。

バンプアウトでは ” 前のセッションで予選スピードを計測したマシンのポジションを、上回ることができない ” というルールがあります。
どういう事かと言いますと、例えば見事33台の仲間入りを果たした赤いマシンですが、ここでどれだけ速いスピードを記録したとしても、緑のマシンより前のポジションにはなれない、という事です。

次のイラストのように ” 初日に24番手だったけど33台中一番予選スピードが遅かった ” というパターンも現実的にはあり得る話なのですが、初日24番手の黄色のマシンをバンプアウトしたとしても、赤いマシンは緑のマシンより前のポジションにはなれません。



言い換えれば、初日24番手だった黄色のマシンは、バンプアウトされたあとに素晴らしい記録を出して、全ての緑のマシンの記録を上回れば、再び24番手に返り咲くことが可能です。

また、バンプアウトのセッション中にポジションを得たマシンが相手であれば、記録に準じたポジションを得る事ができます。
次のイラストのように、現在33番手の赤いマシンがOTBで、灰色のマシンが31番手の赤いマシンのタイムを上回った場合は、31番手のポジションを得ることができます。


ルール上は、The Fast 9 のマシン以外は OTB の対象となりますが、実際にはほとんどの場合OTB となるのは33番手のマシンです。
このように、やや複雑なインディ500の予選システムですが

・予選は2日間にわたって行われる
・出走順はくじ引きで決まる
・初日は24台を決めて、更に上位9台で The Fast 9 を決める
・2日目に33台出揃ったらバンプアウトが始まる
・バンプアウトは、その時点で一番遅い予選スピードを持つマシンが対象
・一番遅い予選スピードを持つマシンは、On The Bubble ( OTB ) を呼ばれる
・34番手以降のマシンは、OTB より速い記録を出せば33台の中に入れる
・でも、前のセッションでポジションを得たマシンより前のポジションにはなれない

以上、ポイントを覚えておいて、ポールデイとバンプデイを楽しんでください!



インディ500では、予選にもポイントと賞金が用意されています。


賞金は、PP が $175,000 ( 約1,630万円 ) 、2番手 $75,000 ( 約680万円 ) 、3番手は$50,000 ( 約465万円 ) となります。