インディカーは、オーバルコースとロード・ストリートコースとでは、マシンのセッティングが大きく異なります。
見た目で一番違うのは、フロントウイングとリアウイングの形状。
ロード・ストリートコースのときはダウンフォースを稼ぐため、大きな羽根のウイングを前後に装着します。
一方オーバルコースでは、空気抵抗を少なくするために小さな羽根のウイングを使用しますが、1周の距離が短いショートオーバルコースでは、ロード・ストリートコースと同じスペックのウイングを使用します。
また、特にハイスピードなインディ500では、リアウイングは極限まで空気抵抗を少なくした、特別仕様のウイングが用意されます。

平均時速300キロを優に超えるオーバルレースでは、前後ウイングの他にも ” スタッガー ” という独特の特殊なセッティングが施されます。
・左側に外径の小さなタイヤを装着
・デフ(ディファレンシャルギア・内輪差を吸収する装置)を固定
・左右で硬さの違うサスペンションを装着
オーバルコースは必ず左周りなので、マシンが左コーナーを安定して走れるようにセッティングされます。
このセッティングが上手く決まるかどうかが、オーバルレースでは非常に重要になります。

シャシー(車体)はレギュレーションで3つのメーカーが供給可能ですが、現在はイタリアのダラーラとアメリカのパノスが供給しています。
ただしパノスのシェアはほぼゼロで、以前は唯一インディ500にスポット参戦するチームが使用していました。
ダラーラシャシーの方が空力面で優れていて戦闘力が高いため、チームは自ずとダラーラを選択せざるを得ない状況です。
また、シャシーは3年ごとの更新制で、現在のシャシーは2011年まで使用される事になっています。
シャシーの価格は30万9000ドルに上限が設定されているので、F1のように際限なく高価な材料を用いたマシンにはなっておらず、例えばF1ではサスペンションアームがカーボンを使っているのに対して、インディカーではスチール製となっています。
2012年からは、ダラーラが供給するベースとなるシャシーに、他ののメーカーが開発した空力パーツを自由にチョイスしてマシンを作る事が可能となります。ロータスなどがパーツの供給を発表しています。

エンジンは、96年は2.65リッターV8ターボエンジンでしたが、97年からは3.5リッターV8自然吸気エンジンへ変更されました。
2002年まではシボレーとインフィニティ(日産)が供給していましたが、2002年でインフィニティは撤退、2003年からはトヨタとホンダがCART陣営から参入。2005年にシボレー、2006年にトヨタが撤退したため、それからは事実上ホンダのワンメイクとなっています。
2004年からは、スピードを抑制するために排気量が3リッターに変更されましたが、2007年にエタノール燃料が導入(それ以前はメタノール燃料)されてから、3.5リッターに再び変更されました。

インディカーのピットストップでは、F1のように前後にジャッキマンがいません。
マシンにジャッキが内蔵されていて、エアの力でマシンを浮かせます。エアはマシンに接続したホースから送り込まれます。

マシンはレギュレーションにより、チームが独自に改造して良い範囲が厳しく制限されています。
見た目ですぐ分かるのはバックミラーのステーくらいで、他にチーム間の差異はほとんど見受けられません。それでも、イコールコンディションが ” ウリ ” のインディカーシリーズなのに、やはり強いチームとそうでないチームが存在します。
近年では、ほとんどのレースでチップガナッシかペンスキーが優勝しています。時折アンドレッティなどが割って入る事もありますが、現在のインディカーシリーズではこの2強がズバ抜けて強いです。
こうしたトップチームの中には風洞を持っているチームもあり、限られた改造範囲内で最大限の効果を発揮する手法を常に開発し続けています。
ワンメイクとは言えども、チーム力がマシンのポテンシャルを左右するのです。