
- Prologue -
「 今年の TakumaClubMeeting 、どうします? 」
5月のある日、電話の向こうでヤタ塾長がやおら切り出した。
まだ5月だというのに既に11月の予定ですか、と思ったものだが、梅雨だ海だプールだお盆だ鈴鹿だ、と言ってる間に11月なんてあっと言う間・・・・・に来てしまった。
昨年に引き続き有志によるサプライズ、サイリウムと琢磨コールは確定事項。
しかしイベント最後のサプライズが全くの未定・・・TCMまで、およそ1ヶ月である。
昨年は、大阪会場と東京会場それぞれで大きなボードにみんなで寄せ書きをし、イベントの最後にそれを琢磨に進呈するというサプライズ企画だった。
二つをドッキングさせると一つの作品になるという趣向で、かなり大きなボードだったのだけれど、琢磨は凄く喜んでくれたし、自宅にまで持ち帰ってくれた。
「 やるならば昨年以上の事やりたいよねぇ 」
自然と、話はそういう方向になる。
多くの人に意見を求めたい気分にもなるが、サプライズ企画である以上、ネットで公表する事が出来ないのが辛いところである。
■ メッセージカードを渡す(案A)
はがきサイズくらいの紙に琢磨へのメッセージを書いてもらって、握手会の時に手渡ししてもらおう、というアイデア。
一番手っ取り早く手軽に出来る。
誰もが気軽に参加出来るのが良い点だけれど、その分インパクトはいまひとつ。
手紙を個人的に渡すファンも多いだろうから、それとダブルのも問題。
さらに台紙を用意するコスト、ペンを用意する手間などもあり。
この案が最後まで第1案だった。
■ メッセージカードを渡す(案B)
案Aの発展型で、みんなのメッセージカードを全部合体させると、琢磨のヘルメットになる、というアイデア。
みんなで一つの物を作り、琢磨にプレゼントするというのが中々グッドではあるが、ピースが欠けると狙った模様にならないし、出来上がりがカナリ大きな物になってしまう。
いずれにしても、昨年の寄せ書きから脱却できていないので、インパクトは薄い。
■ 映像でメッセージを届ける(案3)
ビデオにみんなのメッセージを収録し、DVDにして琢磨にプレゼントしよう、というアイデア。
イベントの最後で、昨年の寄せ書きのように進呈式を行って渡す事になるのだろうけど、DVDの中身が分からないので、これまたインパクト的にはいまひとつ。
■ 映像でメッセージを届ける・その2(案4)
ビデオにみんなのメッセージを収録し、DVDにするところまでは(案3)と同じだが、イベントの最後でその映像を会場のスクリーンに流し、琢磨にその場で見てもらおう、というアイデア。
映像を流す=イベントの進行に大きく影響する事になってしまう上、当日現場で収録直後に編集作業をしてDVDに落とすという気の遠くなる作業をしなければならない。
だけど、琢磨本人+その場に居るファン全員が一緒にメッセージを見る事が出来、インパクトは大。
しかしあまりにリスキー、実現不可能と言う結論に。
そう、(案4)は却下されたはず、だった。
インパクトは大きい。だけど、あまりにリスクが大き過ぎる。
しかしヤタ塾長は
「 何とかなりますやろー 」
と一言・・・(--;
そこで、映像の専門家であるQたろう氏にも相談する事になった。
きっと専門家が聞いたら、そんな荒唐無稽な、と言ってくれるに違いない。
YO 「 こんなアイデアが出てるんですが、無理っすよね!専門家から、絶対無理!って言ってやって下さいよぅ 」
Q 「 楽しそうじゃないですか!ビデオメッセージ!やりましょう! 」
・・・(TT)
・・・と言うわけで、我々は荒波に乗り出す事になったのであった・・・。
- Episode1 -
TCMまで3週間。
具体的な内容の詰めに入った。
TAKU-STYLEでの取り組みとしては、実に珍しく余裕を持っての行動である。
※ 問題点
・全てのコメントを流すのは時間的に無理なので、編集作業必須
・編集作業をするには、ハイスペックなPCが必須
・だけど会場となるディファ有明にはそんなPCは無い
・PCが無いどころか、その場所さえ確保できるか危うい
・撮影は開演前と握手会の最中しか出来ないが、それで充分なのか
・カメラは2台用意するが、どこで撮影するか
・メッセージビデオを放映するタイミングがあるか
撮影は、HDカメラを2台用意し、外部班と内部固定カメラ班とで行う事に決定。ただし、内部は当日にならないと撮影場所がどこになるのかが不明なのが不安材料である。
当日映像を流すタイミングは、イベント会社の方と相談して、握手会終了のタイミングで、という事にした。編集作業などを鑑みると、そこしかタイミングは無いという結論である。
で、肝心の編集作業機材。
これは手持ちのノートパソコンでは全くの力不足なので、ヤタ塾長が最近作った、最新最強スペックのデスクトップを現場まで運んでもらう事となった。
・デスクトップ(Intel core i 7 + メモリ8GB + SSD + Windows7)
・ノートパソコン(SONY VAIO)×2台
・ノートパソコン(Acer ネットブック)
さらに、イーモバイルと無線LANルータを持ち込んで、ネット環境も万全。
作業場所として、普段はチケット販売を行っているブースを貸してもらう事となった 。
さて、いよいよ具体的な作業に入る。
事前に用意したオープニングに、当日撮影した映像とBGMを合体させる計画なので、まずはオープニングとBGMを用意しなければならない。
BGMは相当悩んだのだけれど、今回はインストゥルメンタルをチョイス。
琢磨の好きな長渕で、と思っていたのだけれど、試しにメッセージと楽曲を被せてみたら、メッセージがあまり強調されない感じなってしまうのだ。
オープニングは、シンプルに文字のみのメッセージ。
当初子どもの声でナレーションを入れる予定だったが、文字のみの方がインパクトが大だった。
実は、BGMの選定と編集 ( 3分30秒程度の曲を8分に伸ばす作業 ) 、それからオープニングのメッセージを考えるのに2週間と6日ほどかかってしまっている。
決してAB型だから、ギリギリまで作業しなかったワケではない。より良いものを!と試行錯誤した結果なのである。
・・・というわけで、あっと言う間にTCM前日である。
- Episode2 -
BGMとオープニングのほか、看板を作ったり、当日撮影に使うカチンコを用意したり、告知用のチラシを作ったり。
・・・まぁ、それも前日の夜完成したようなものだが。
AB型は、背水の陣じゃないと力を発揮できないようで。
当日は、10時30分に現地集合。
ヤタ塾長、Qたろう氏、Qたろうブラザー氏と事前に打合せ・・・する訳でもなく、会場に入れる時間まで外で談笑。
・・・余裕である(--;
それもそのはず、よく考えたらみんなAB型だもんな・・・。
背水の陣チーム・・・(TT)
いよいよ会場入りの時間となり、機材一式を運び入れ、パソコンのセッティングをして・・・とやっているうちに、Qたろう氏とQたろうブラザー氏が早速撮影に出掛けていった。
なし崩し的に、お仕事スタート。
自分はあたふたするばかりで、看板の設置やその他の段取りなど、有志に大いに頼ってしまった。大助かり。
告知のチラシなども、タクスタ!の有志に任せっきりだった。本当に感謝感謝。

ヤタ氏とともにお昼前から小部屋にこもり、作業開始。
次々にQたろう氏とブラザー氏から映像素材が届けられるので、パソコンで吸い出し吸い出し、黙々と編集作業。
作業は、さすがに最新スペックのパソコンだけあって、映像の処理も何もかもがサックサク。
この分だったら楽勝で終わっちゃうなー、などと言いながら快調に作業は進む。
・・・筈だった。
映像が3分程度まとまった頃から、映像編集用のアプリーションがエラーを繰り返すようになってしまったのだ。
一つの映像をクリップして必要な部分だけを切り取って、全体のタイムラインにはめ込んで・・・というところでエラー。
立ち上げなおして、作業している途中でまたエラー。
その度に編集内容が破棄されてしまい、途中まで戻って再びトライの繰り返しである。
思いがけないトラブルに見舞われ、小部屋内の空気がやや緊張を帯びる。

エラーとフリーズを繰り返し、1歩進んで3歩下がる様な状況で編集作業は進む。
時間はあっと言う間に過ぎ、4時、5時・・・。
TSレポーターのTwitterレポートで場内の状況をチェック、今質問コーナーが終わった、次は握手会、という事は・・・大体タイムリミットは・・・と時間を逆算しながらの作業。
そこに、イベント会社のスタッフさんが状況を頻繁に確認しにくるものだから、焦る焦る。
握手会の残り人数を逐一知らせてもらい、 「 多分この時間が限界ギリギリ 」 と自分たちでは線引きしているのだけれど、イベント屋さんはとにかく早くDVDが欲しい。プレッシャーかけられまくりである。
イベント屋さんの気持ちも十分解る。プログラムにアナをあけるわけにはいかないし、とにかくどんな形でも成果が欲しいところであろう。
とは言っても確かにこの状況ではダメなので、とりあえず6分ほどのバージョンを一旦DVDに焼く事にした。保険である。
DVDに焼く際もエラーが出てしまうので、焼き終わるまで祈るような気持ちである。久しぶりに、本当に手を合わせて祈ってしまった。
何とか初版が完成し、イベント屋さんに渡す。そして引き続き編集作業を行い、新たに出来た分を随時更新していく方法をとる事にした。最終的に完成品が間に合わなかった場合、不本意ながら80%完成バージョンや90%完成バージョンが流される事になるのだ。
しかし、そんな中途半端な作品を、琢磨や協力してくれたファンのみんなに見せるつもりはサラサラ無かった。多分その場にいた全員が、そんな気持ちになっていたと思う。編集作業をしながら、みんなの琢磨への熱いコメントをずっと聞いていたので、絶対に諦めない!という想いが強くなったのだと思う。
イベント屋さんのプレッシャーをかわしつつ、何とか最終バージョンが完成したのは握手会もあとわずかとなった時であった。
完成したDVDをチェックし、イベント屋さんに渡してコンプリート!
最後の最後の最後に、琢磨のマネージャであるマシューや、おなじみ松本カメラマンと大谷さん、それからTCMの司会はこの人しかいないでしょう!な川崎かおりさんのメッセージが、滑りこみセーフだったのが幸いであった。
結局6時間、小部屋に籠りっ切りだった。
終わった時は本当に踊りだしたい気持だったし、カメラスタッフやみんなと思わず握手してハグ。だけど、本当の終わりはまだ少し先だ。
握手会も残り10人くらいとなったところで、熱気溢れる会場内へ。
最後の方が握手を終え、いよいよサプライズである。
川崎かおりさんの 「 ちょっとこれを見てください 」 の言葉を合図に、いよいよビデオメッセージが始まった。
壇上の琢磨が、ステージ後ろにあるスクリーンを振り返る。
真っ白いスクリーンに、編集中イヤと言うほど見たオープニングが映され、同時に何十回と聴いたBGMが流れ出した。
2008年5月
あなたが闘う場所を奪われてから
ぼくらの時間は止まったままだ
だけど
あなたを応援する熱い気持ちは
これっぽっちも変わらない
止まってしまった僕らの時間を
再び動かすため
諦めずに走り続ける あなたに
心から伝えたい
がんばれ!
そして、みんなのメッセージが次々と映し出される。
明るいがんばれ!、楽しいがんばれ!、勇気溢れるがんばれ!、少し泣きそうながんばれ!、静かながんばれ!、恥ずかしがり屋ながんばれ!、元気イッパイのがんばれ!、カワイイがんばれ!・・・
・・・はじめ、照れくさそうに画面を見ていた琢磨が、途中から姿勢を正して画面に向き直ったような気がした。
メッセージビデオは、8分40秒である。
担当さんが 「 ええっ、そんなにある!? 」 と、少し難色を示したくらいだから、イベント屋さんとしては 「 長すぎる 」 ビデオメッセージなのだろう。
実際自分たちも、8分以上の時間、琢磨を壇上に立たせたままで間延びしないか?と心配した事もあった。
映像に飽きちゃって、微妙な雰囲気になったら最悪だな、と思った事もあった。
だけど、そんなのは全て杞憂だった。
スクリーンに映し出されるみんなの ” がんばれ! ” を、琢磨は少しも漏らさずに焼き付けている様子だった。
会場のみんなからも、拍手が起こったり歓声があがったりしている。
「 無事に最後まで上映されてくれ 」
その事ばかりを心配していた我々も、いつしかみんなの ” がんばれ! ” に、引き込まれてしまっていた。
とても不思議な気分だった。
何十回も編集作業で見た映像なのに、会場のスクリーンに映し出されているソレは、全く違うモノの様に感じた。
これは、誰が作ったワケでもない、紛れも無くファンのみんな一人一人が作り上げたビデオメッセージなんだ、と言う事を強く強く感じた。
その瞬間から、涙腺が緩んで仕方が無かった。
みんな、何て素敵なファンなんだろう。
何て素晴らしいファンなんだ。
映像から流れてくる、みんなの ” がんばれ! ” に、どんどん肌が粟立ち、体の芯が震える感じだった。本当に感動した。
With You.
僕らはいつもここにいる
ビデオメッセージの最後は、こう締めくくられた。
そう、僕らはいつでもここにいて、あなたを応援している。
どんな時だって、これっぽっちも変わらずに。
ビデオメッセージが終わった。
何も映っていない画面をしばし、琢磨が眺めていた。
琢磨がちょっと、泣いてる気がした。
会場全体が、とても暖かい空気に包まれていた。

- Episode3 -
全てが無事に終わった。
至らない点や思うように行かなかった点も沢山あったが、とにかく終わってホッとした。
ホッとしたと同時に、本当に良かった、という気持だった。
つくづく、琢磨ファンは素晴らしい、そう思った。
イベント終了後、イベントのプロデューサー氏が
「 本当に良いイベントでした。最後、私も泣いちゃいましたよ 」
と言ってくれたのが、本当に嬉しかった。
これは、自分たちに向けられた言葉ではなく、ファン全員に向けられた言葉だと思った。
今回のTCMは、昨年までと運営するイベント会社が変わって、担当するスタッフさんたちはTCM初体験だった。
だから例えば ” 琢磨クンはファン想いなので、握手会は長引く ” と言った ” 琢磨ファンにとって当たり前のこと ” を、彼らは知らない。
だから、琢磨ファンの温度というか、TCMの熱気とかそういうのが分からない弊害、壁みたいなものを少しばかり感じていたのも事実。
サイリウムやビデオメッセージの企画を進めるにあたっても、その辺が若干気にはなっていた。
だから、プロデューサー氏がそんな風に感じてくれた事を本当に心から嬉しく思った。
「 佐藤琢磨ファンは、ファンである事に誇りを持っているのですね。こんな素晴らしいイベントにかかわることが出来て、本当に良かったです 」
プロデューサー氏のこの言葉に、すべてが詰まっている。
そんなこんなで、今年もTCMが終わってしまった。
客観的な事を言えば、1年半レースをしていないレーサーのファンイベントに、これだけの人が集まり、そしてこんなに盛り上がるなんて本当に凄い!としか言い様が無い。
これも、佐藤琢磨だからこそ、である。
琢磨がこんなにファンに愛されているんだ!と言うのを、チームの関係者に見せてあげたい気分である。
来季については、年内に決定がなされる。
いよいよ、僕らの止まってしまった時間が、動き出すのだ。
ワクワクして、果報を待つとしよう。
そして最後に。
当日、サイリウム・琢磨コール・ビデオメッセージの企画に参加協力して下さった佐藤琢磨ファンの皆さま、本当にありがとうございました。
みんなでとても良いサプライズ企画が作れたと思います!
企画の段階から色々とご協力頂いたタクスタ!有志の皆さん、本当にご苦労様でした!
メッセージ撮影部隊のスタッフも、超タイトなスケジュール本当にご苦労様でした!
この企画の実行について、多大なるご協力を頂きましたイベント会社のスタッフの皆さん、本当にありがとうございました!